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T-Party:08

「…って事で、任せた」
「え~?」
 太田の簡潔で端的な言葉に、南部が取り敢えず言葉と表情で不満を表明する。
「何で、俺なんですよ~?」
「お前が頼んだんだろーが」
「交渉したのは、太田君じゃないですか」
 何の事を話しているのかと言えば、雪たちの為に借りてきた服の事だ。
 それぞれの言っているように、ドレスでは動きにくいだろうからと誰かから借りてくるようにと提案したのは南部だったし。そうと言われて、自分の姉妹から借り出してきたのは太田で間違いは無い。
「アレは、交渉とは言わない」
 きっぱり言い切る、姉妹にはとことん弱くて絶対に勝てる気のしない太田である。

「これ、2人の連絡先な。交渉っていうか、値切れるもんなら値切ってみろよ」
 太田が南部の母親を見知っているのと同じ程度には、南部も太田の姉妹を既に見知っていた。どういう性格でどういう言動をする人なのか。そして、自分が勝てそうな相手なのかどうか、も。
 従って、太田から突き付けられたメモをやれやれ…と思いながら、仕方無く引き取る南部だった。
「なら、一美さんとデートして来ましょうかねえ」
 ここまではっきり太田が、南部に押し付けられるつもりでいるという事は。借りるという話の最初っから、南部の名前をしっかり出していたという事だろう。その状況で2人から逃げ切る自信は、南部にも無い。
「…三希を置いてくなよ?」

  ◇ ◇ ◇ ◇

 テレサに逢ってくるというのはほぼ日課だったから、翌日にも当然。前夜の事をあれこれと言ったりもしたが、過剰に…というかあまりにも素直に反応見せてくれるので、騒動の方は適当に省いて伝えたりもして。
「も~っ、教え甲斐が無~いっっ」
「いや、だって…」
 だから、帰還(もど)ってきた島に。今度は省いた分までをちょっと詳しく語ってみたのに、島は島で反応が薄くて、それはそれで詰まらなく思うサーシャだ。
「お兄さんが居て、真田さんが居たんだろう?」
 それに加えて古代だの南部だの知った名前の大量に出てくる話を聞かされても、当人も無事で目の前に居るというのに、途中で「話の終着(さき)」が大して気になるはずが無い。結果として何も無かったという事も、既に分かっているのだから。
「島さんも、来てれば良かったのにっ」
 サーシャから見れば、父親2人ともに戴いた招待状だ。それ以外にも知った顔の数人居れば、そちらの方が当たり前にも感じたかも知れないが。当人の肩書きだとか、身内の立場だとかが在ってこそだ。
 古代ほど無駄に広範囲に名の知れているでも無い、一介の輸送艦艦長にそれは舞い込んでは来ない。
「無理だよ、それは」
だから、島はそれに苦笑(わら)いながら答えた。

「…どうしたら、良いと思う?」
「何を?」
 少しばかり黙っていた後に、話のすっ飛ぶのはいつもの事だ。血統の問題だよな…と思っていたりする島だったから、普通に先を促す言葉を継ぎ足した。
「その所為で、こないだお父さまにワンピース買ってもらったのよね。ものすっごく可愛いの」
 そこから、その見た目の説明が付け足される。
 艶の在る薄いブルーの、膝丈のワンピース。上半分はすごくシンプルだが、スカート部分はふわふわひらひらとした。胸というか肩のちょっと大きく開いた、だから首周りに何かしらの装飾品の無いとどうにも寂しい。
 つまり、今までに持っているどの服とも、明らかにタイプの違うデザインの。
「着て行く場所(ところ)が無いのよ、どーしよう?」
「…雪に訊けば?俺じゃなくて」

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